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先日『池上彰の緊急スペシャル』という

番組で「タイの高速鉄道受注対決」

ついての話題が出ていましたので、

注意深く見ちゃいました。

 

実は以前私は次の記事でフィリピンの

高速鉄道について触れています。

→ 『ブラカン州マロロス沿岸は可能性のある地域

 

ご覧いただくとわかるようにフィリピンの

「クラーク高速鉄道」というプロジェクトが、

まさに現在調査に入っているわけです。

 

ところが最近、同プロジェクトが

「フィリピン国南北通勤線事業(フェーズ1)」

という名称に変更になったようです。

 

おわかりの通り<高速鉄道>の文字が

抜けていますね。

 

おそらく<高速鉄道>にするという案が

白紙となったのでしょう。

 

ところで、そもそも<高速鉄道>とは

具体的には何を指すのでしょうか?

 

一応、「全国新幹線鉄道整備法第2条」では

新幹線鉄道のことを、以下のように定義しています。

 

「その主たる区間を列車が200km/h以上の高速度で走行できる幹線鉄道」

 

この定義を基準に考えれば良さそうですね。

 

ちなみに高速鉄道の最高速度の定義としては、

最高速度250km/hで走行することができるもの

という基準があるようです。(国際鉄道連合 (UIC) )

 

定義の話はそこまでにして、この記事では

日本の鉄道企業連合がフィリピンと交渉するに

あたり日本側が持つべきマインドについて、

僭越ながら次の3つを提案したいと思います。

 

なお鉄道企業連合には、日本政府機関も

含まれるものとします。

 

(1)先にインフラを整えることのメリットを提案

(2)日本ブランドのイメージを獲得

(3)フィリピンとの親密ぶりを徹底的に演出

 

今回は、「先にインフラを整えることのメリットを提案」

についてお伝えします。

 

先にインフラを整えることのメリットを提案

簡単にいえば、日本や中国が経験してきた

「先にインフラを整えれば発展はついてくる」

ということを、しっかりと伝えるということです。

 

先にもお伝えしたとおり、今回、プロジェクト名から

<高速鉄道>の文字が消えたということは、

 

フィリピンの今の実力から勘案して、

高速鉄道を敷設するよりは、スピードを重視するよりも

まずは予算の安い鉄道を敷くことが先決

という判断が下ったと思うわけです。

 

またフェーズ1となる31.3kmの駅数を見ても

8駅となり、在来線の駅間距離ですので、

高速鉄道が敷設されるとは考えにくいですね。

 

あるいは、はじめは軌道線を通すだけでも

よしとすればいいのかもしれません。

 

というのも現在計画されている軌道間隔は

標準軌」と呼ばれるもので、日本の新幹線が

採用しているものなんですね。

 

なので「標準軌」で線路を敷設しておけば

将来的には高速鉄道専用線にすることも

可能になってきます。

 

大切なことは、過去の日本がそうだったように

これから発展していくぞという時に、

少なくともインフラ整備に関しては

先行投資をしていくという正当な意義があることを

フィリピン政府に認識してもらうことではないでしょうか?

 

そして、そのことを日本側は嫌われることを恐れずに

提案していくべきだと思います。

 

確かに目先の工事費を抑えるのは相手国には

心地いいし、また当然コスト削減努力は必要ですが

費用対効果を相手国の立場になって、つまり

フィリピンの立場になって伝えて欲しいです。

 

同時並行で平行する路線案も提示

もし予定通りに、現在コンサルをしている

「フィリピン国南北通勤線事業(フェーズ1)」

の供給が飽和状態になったとしたら、

 

その時になって次の計画をしても遅いことは

いうまでもありません。

 

速やかに次ステージに移行するためにも

現在の計画と同時進行で、次の路線の計画も

立案するべきだと思います。

 

なぜなら、マニラ-マロロス間

立地的に考えても東京-横浜間に

類似しているからです。

 

現在、東京-横浜間には東海道新幹線、

東海道本線、京浜東北線、京浜急行線、

横須賀線が走行しています。

 

さらに広く東京-横浜間を解釈すれば

東急東横線田園都市線

小田急小田原線からの江ノ島線等も

含まれるわけです。

 

ということは到底、同じような発展を辿って行くと

想定されるマニラ-マロロス間が、1本の鉄道

足りるわけがありません

 

また鉄道や道路が通ることにより、

地方都市の価値が上がります。

 

すると工場なども大都市郊外の

例えばマロロスなどに立地することになるでしょう。

 

これも一時期横浜やその先の大船、藤沢に

工業団地が立地した理屈と同じです。

 

また中国のインフラ整備も

異常に早かった記憶があります。

 

私は中国株に投資していた2002年当時は、

まだ鉄道なんてほとんど通っていません

でしたからね。

 

たった10年でこれだけ整備されるのは

逆に怖いイメージもありますが、

スピード感は見習うべきところも

多々あると思います。

 

なので、日本は徹底してフィリピンの立場になって

日本が抱えてきた用地買収などの問題等も

掲示することにより、

 

一緒になってインフラの整備計画に

参画していっていただきたいと思います。

 

現在までもODA等により相当数の提案をしてきたし

施行もしてきたと思いますが、高速鉄道周辺に

関してはぜひとも日本に強く関わって欲しいと

願う限りです。

 

【参考図書】

フィリピンについては
>>フィリピンのことがマンガで3時間でわかる本 (Asuka business & language book)<<

ASEAN全体については
>>図解 ASEANを読み解く<<

 

次回は、<日本ブランドのイメージを獲得>に

ついて提案させていただきます。