【ベトナムのブンタウ】
日本とASEANの経済的関係を見ていきたいと
思います。
海外進出の話題になると、よく「直接投資」
という言葉が出てきますよね。
簡単に言えば、日本から持って行って現地の
事業等に投資する金銭等の財産のことです。
日本から直接投資が一番多いのが
アメリカです。
次いでEUとなり、3番目がASEANなのです。
直接投資全体に占める割合は12%で、
4位の中国よりも上位となっています。
※日本銀行「国際収支統計」より
それでは、どんな直接投資が行われて
いるのかを見ていきましょう。
日本とASEAN間の直接投資の内訳
直接投資の種類はおおきくわけて
製造業と非製造業の二つです。
製造業
製造業の投資額は約6.6兆円であり、
非製造業の1.7倍となっています。
イメージでは製造業の割合の方が
非製造業に比べて圧倒的に多いかと
思ったので意外でした。
業種はかなり多岐にわたってますね。
なぜかというとはじめ組立加工業が
メインだったのが、扱う幅が大きくなるに
つれて現地での、いわゆる
【サプライチェーン】
が広がっていったからと推察されます。
それをよく表しているのが日本とASEAN間の
中間財のやり取りの多さです。
中間財とは、非常に分かりやすく言えば
完成品を作るための部品ですね。
例えば、自動車で言えば、最終的に
自動車として組み立てる工場は
すぐにイメージできると思います。
しかし、すべての部品を自動車本体を
組み立てているわけではありません。
エンジンやベアリング、ブレーキなどは
各々の工場で作られて運ばれてくる
わけです。
それらのネットワークが
「サプライチェーン」と呼ばれています。
扱い量は日本からASEANへの輸出では
中間財の割合が74%と大部分を占めており、
ASEANから日本へも55%です。
そのうち日本の工場はなくなっちゃう
のではないかと心配になりますね。
非製造業
非製造業では製造業と違い
ある程度進出している業種は限られています。
金額ベースでみると、一番大きいのが
金融・保険業で40%です。
現地への日本企業進出に伴い、
資金調達や保険が必要になった関係ですね。
ただ保険に関してはこれからは現地人の
加入も盛んになってくるのではと思います。
クレジットやリースなどの需要も
個人レベルで広がってきていると
テレビで見たことがありますね。
次に多いのが、卸売・小売業で29%です。
フィリピンでは、コンビニというと
ミニストップが幅を利かしていますが、
去年2013年からはファミリーマートも
目にするようになりました。
また以前にもお伝えしたユニクロや
大手の飲食チェーン店なども
軒並み進出しています。
すでに中間層が台頭しているタイや
日本と変わらない経済レベルの
シンガポールでは少し前からのことですが、
今後中間層が増えていくフィリピン、
インドネシア、ベトナムなどにも
どんどん日本で見慣れた店舗の看板が
見られることになることでしょう。
ASEANから日本への観光客
最後にASEANから日本への観光客の
話題について少しだけ触れたいと思います。
ご承知の通り、日本人はASEANの国へ
気軽に行けますよね。
その大きな要因として、短期滞在であれば
ビザが免除か、必要でも到着時に取得できる
など、かなり条件が緩和されているから
でしょう。
※フィリピンは30日以内の観光目的であれば不要
ただし入国時にパスポートの残存期間が
滞在日数+6か月間あることと、
出国の航空券を持っていること。
ところが、ASEAN諸国の大部分の人たちは
おいそれとビザが取れなかったわけです。
しかし、2013年7月から、ASEANの人たちの
ビザ取得要件がだいぶ緩和されました。
ビザの免除はもともと必要のなかった
シンガポール(90日以内)に加え、
おなじくマレーシアが90日以内、
タイが15日以内。
※条件についてはこちらを参考にしてください。
インドネシアに対しては数次ビザの
滞在日数が15日から30日に延長。
そして我がフィリピンとベトナムに対しては
今までは一次ビザのみの発給だったのが、
数次ビザの発給がされるようになりました。
どんどんフラット化されていくんでしょうね。
(参考)日経新聞