以前、記事にもしましたが[フィリピンの高速鉄道計画]が着々進んでいますよね。

もっとも、新幹線のような高速鉄道になるかはわかりませんが、今のところ全区間高架式になるようですし、日本の新幹線と同じ標準軌という線路幅になるようなので時速100km程度は巡航速度で出るのでしょう。

ところで上記の記事に書いたフィリピンの高速鉄道計画。

元はといえば中国も計画に参加して、施工も始まっていたというのをご存知ですか?

ブラカン州のマロロスに行った時に状況を見てきましたのでご紹介いたします。動画も撮ってきたので、興味がありましたらご覧ください。

 

現地の写真と動画をシェアします

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写真はブラカン州マロロスにできたロビンソン(Robinson Place)からクラブ・ローヤルリゾート(Club  Royal Resort)というホテルの方向を眺めたものです。

すぐ前に走っているのが幹線道路のマッカーサーハイウェイですね。

この写真を見るとマッカーサーハイウェイの脇に中国による高速鉄道計画で作られたスチール製の縦管のようなものや、右側には埋め戻しをされたフーチングから飛び出た鉄筋が見えています。

そして下の動画では見えていますが、写真向かって右側のほうにはすでにコンクリートを打設した橋脚まであります。

かなり本気で出来る予定だったんですよね。

それでは中国がマニラ-クラーク間に敷設しようとした高速鉄道の遺産をご覧ください。

 

中国がフィリピンの高速鉄道施工から撤退した本当の理由は?

動画ではハッキリと鉄道のラインがわかったと思います。作りかけの橋脚がいくつかありましたからね。

ここまで進んでなぜプロジェクトは停止してしまったんでしょうか?

理由としてはいくつか上げられるようです。

 

資金難に陥った

細かい理由はよくわからないのですが、資金が回らなくなったというものです。個人的にはなぜ資金が回らなくなったのかに注目しています。

建設業のプロジェクトは施工して初めて予期せぬ障害が出てきたりします。なので、しばしば施工金額が変更になることがあるんですね。(設計変更)

このプロジェクトで中国とフィリピンがどのような取り決めだったかは細かいことはわからないのですが、中国の負担分が多く、かつ施工を始めてから費用が掛かりそうだから撤退したという可能性はあります。

でもですよ、マニラ-クラーク間はほぼ平地です。確かに沼地は多いかもしれませんがボーリングをしていればその辺りは織り込み済みだったでしょう。大きな設計変更があったとは考えにくいんですがね。

なので、もし資金的なものが原因とすれば大統領選だと思います。現在のベニグノ・アキノ・ジュニア大統領が中国とはあまり親しくないのかなという気がしました。中華系だとは思いますが。

その点、アロヨ前大統領は中国とはベタベタだったと聞いたことがあります。

 

二国間関係の悪化

最近、何かと中国とフィリピンはもめているようです。中でも大きいのが南シナ海の埋め立て問題。フィリピンは国際裁判所に提訴していますよね。

そこで中国は経済措置の一環としてマニラ-クラーク間の高速鉄道施工から手をひいたのかなという可能性も多いにあるかと思います。

中国がフィリピンの高速鉄道施工から撤退した理由について詳しく知っていましたら、ぜひコメント欄から教えて下さい!

 

日本のODAで得するのはゼネコンだけじゃない

で、結果的に今後どうなるかというと・・・

今のところ日本がODAで施工までするんじゃないかというのが私の予想です。現在は環境調査等のコンサルが入っている状態ですね。

まずはマロロスからツツバンまで南北通勤線が敷設される予定ですから、このマロロスは非常に期待できそうな地域です。

日本のODAで施工することになれば日本のゼネコンも入っていくでしょう。

ここで日本のODAはゼネコンのためにやっているだけだという人もありますが、決してゼネコンだけのためではないというのが私の見解です。

実はフィリピンのインフラを整えることによって、日本の企業がフィリピンに出て行きやすくなります。具体的にはインフラが整えば流通が楽になりますから。

現在はマニラを境にすると、どちらかというと南側のカビテ、ラグーナ方面に多くの日本企業が工場を構える工業地帯が立地しています。

一方でマニラの北側のブラカン州には、まだまだ広大な敷地が残されているんですね。

もっとも北側は洪水エリアがあったり地盤が軟弱だったりと工場立地に適さない部分もあったのでしょう。

ただし、日本で言えば横浜や川崎の沿岸だって埋め立て地です。そういうことを考えればマロロス周辺は本当に可能性がありますよね。

中国のおかげで、かなりの部分の立ち退きや用地の買収は済んでいるようです。その他済んでいない部分はお互いに譲歩しあって、いち早く高速鉄道を通していただきたいです。

それにしても得をするのはゼネコンだけじゃなく海外に工場を作れるような日本の企業全般。ここで注意すべきは日本人じゃなくて、あくまでも日本企業です。

同じ海外である例えば中国からフィリピンへの移転であれば別ですが、日本にあった工場が海外に移転することになれば日本人自体の仕事は減るわけですから、日本人は今後ますます自分の持つポテンシャルを高めていく努力が必要になるでしょう。

※マロロス周辺で知りたいことがありましたら「お問い合わせ」欄よりご連絡ください。